「幸福度って何?」
「俺は、なんて……不幸なんだ。」
こんな疑問を解決します。
自分の事を”不幸”だと思っていませんか?
「幸せ」や「幸福感」といった一人ひとりの心に関わる主観的なものの程度を「幸福度」と言います。
国連が発表した「世界幸福度ランキング2022」で日本は54位と、先進諸国の中で最低でした。
日本には幸福度が低い人が多いようです。
そこで、今回は幸福度が低い人の特徴や原因、幸福度が低い人はどう対処するべきか解説していきたいと思います。
幸福度とは?
幸福度とは、個人が自分の人生においてどれだけ幸せで充実しているかを測定する指標です。
物質的な豊かさだけでなく、精神的な要素も含めた総合的な概念です。
幸福度に影響する要因とは?
内閣府による幸福度研究によると……
実際、主観的幸福感を用いた分析により、様々なことが分かってきています。
例えば、幸福度を利用した実証分析結果には、以下のようなものがあります。
- 所得の上昇が人々の幸福度を改善するには限界がある。
- 失業が個人にもたらす負の影響は、所得の減少以上に、非常に大きい。
- 正規雇用、非正規雇用の違いがもたらす影響は、国ごとに異なる。
賃金を考慮しない場合には、非正規雇用がわが国でも男性、女性別では幸福度を有意に引き下げるわけではない。- 年齢別にみると欧米では40代が一番低い。
日本では年齢とともに幸福度が低下するとする研究もある。
結婚や配偶者の存在は幸福度を引き上げる。- 労働者にとって、雇用主による経営への信頼は、生活全般の幸福度に大きく影響する。
- 政治体制への信頼感やソーシャル・キャピタルの質が幸福度に大きく影響
- 東アジアでは社会的な調和から幸福感を得る一方、欧米では個人的な達成感から幸福感を得る傾向にある。
このような成果もあり、主観的幸福感を正確に測定することが、重要であると考えられるようになりました。
「幸福度研究について」内閣府HPより
とありました。
各項目の調査をした結果、本記事では幸福度との関係がある項目として、「健康」「経済」「社会的な関係性」「思考」「目標や生きがい」と整理しました。
よって、幸福度が低い人の特徴には以下のようなことが考えられます。
- 心身の健康が悪い
- 経済的な不安がある
- 社会的な関係が希薄である
- マイナス思考が強い
- 目標や生きがいを見出せない
各特徴について解説していきます。
その前に、「QOL」について触れておきましょう。
QOLとは?
幸福度に似た言葉にQOLがあります。
QOLとは、Quality of Life(生活の質)の略で、健康や生活環境、社会的関係などが人間の生活に与える影響を総合的に評価した指標です。
一般的に、QOLが高いと、生活に対する満足度や幸福感が高いということになります。
医療や介護業界では、サービスの目的の一つにQOLを向上させていくことが挙げられますね。
幸福度とQOLの違い
幸福度とQOLは、似たような概念であるため、混同されることがありますが、異なるものです。
幸福度は、主に個人の主観的な感覚に基づいて測定される指標であり、人生においてどの程度幸せで充実した感覚を持っているかを評価するものです。
一方、QOLは、生活の質を評価するために総合的に使用される指標であり、健康、社会的関係、経済的状況、環境、文化的背景など、様々な要素が含まれます。
幸福度は主観的な感情に基づいているため、人によって異なる場合があります。一方、QOLは客観的な要素も考慮に入れるため、より総合的な指標と言えるでしょう。
幸福度のほうが主観が強い印象ですね。
それでは、幸福度が低い人の特徴について考えていきたいと思います。
心身の健康が悪い
身体的な不調や精神的な問題を抱えている場合、それが幸福度の低下につながります。
心身に不調があると、日常生活の活動が制限されるからです。
例えば、腰痛です。
腰痛があるためにスポーツや趣味に取り組むことが難しくなり、楽しい経験や充実感を得る機会が制限されます。
腰痛は医療介護従事者にも多いですよね。
また、過度なストレスを抱えた精神状態では、睡眠障害やうつ病のリスクが高まります。
このように、身体的な不調や精神的な問題は幸福度に直接的な影響を与えることがあります。
対処法は、定期的な運動
心身の健康をサポートするために、適切な医療機関への受診、バランスの取れた食事や十分な睡眠が必要なことは言うまでもありません。
私がオススメしたいのは、”定期的な運動”です。
運動が良いのは、身体だけではありません。
定期的な運動は脳の構造を変化させ、目的意識の向上や不安の緩和、抗うつ作用など、メンタルヘルスに影響すると言われています。
簡単な運動、ウォーキングやジョギング、サイクリング、ヨガなどでも構いません。
スタンフォード大学の心理学者。ケリー・マクゴニガルの著書「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」では以下のように紹介されています。
「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」 著)ケリー・マクゴニガル
- 20〜30分程度の「ややきつい運動」によって脳内に分泌される「内因性カンナビノイド」には、人と一緒にいることが楽しくなる効果があり、交流の妨げとなる社交不安が緩和される。
- 運動を1回するだけでも抗うつ効果はあるが、継続することでその効果は高まる。
研究では、運動が苦手な人でも週に3回の運動を6週間続けることで、不安を軽減する脳の領域の神経結合が増え「運動依存症」になっていく。- 心理学では自然の中の運動を「グリーン・エクササイズ」と呼ぶ。
この精神的効果は絶大で、人間の脳は自然と触れ合うことで認知能力が伸びる。
また、景色のよい道でウォーキングした後の脳をスキャンする実験では「自己批判や悲嘆、不安」と関係する部位の活動が低下していた。
経済的な不安がある
経済的に不安がある人は、一般的に幸福度が低下しやすい傾向があります。
経済的な安定や満足度は、人々の幸福感に重要な要素となることが多いからです。
お金は、大事。
例えば、低所得などの経済的な問題がある場合、生活費の支払いや基本的なニーズの充足が難しくなることがあります。
これにより、心配や不安、将来への不安が増加し、幸福度が低下する可能性があります。
対処法は、生活費の見える化
では、年収はいくらが良いのでしょうか?
アメリカのプリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授は……
「年収7万5000ドル(日本円にして約800万円)までは、 収入が増えれば増えるほど幸福度は比例して大きくなる。しかし、年収800万円付近を境に、それ以上収入が増えても幸福度はほぼ変わらない」
ということを明らかにしました。
また内閣府の調査(『満足度・生活の質に関する調査』)によると、300万円未満、500万円未満、700万円未満、700万円以上で見たときに、年収が高いほど生活満足度は高い傾向にあるようです。
これらのことを考えると、”お金はあればあるほど良い”というわけではなさそうです。
そこで私がオススメしたいのは”生活費の見える化”です。
生活費の見える化とは、自分の収入と支出を明確に把握することです。
これにより、無駄な出費を減らしたり、節約の意識を高めたりすることができます。
経費削減です。
収入を増やすより無駄な支出を減らすほうが圧倒的に楽で即効性があります。
社会的な関係が希薄
人間は社会的な生物であり、他の人々とのつながりや支援を通じて幸福を感じることができます。
社会的な関係は、友情、家族、愛情の絆など、さまざまな形で現れることがあります。
これらの関係が希薄な場合、幸福度が低下する可能性があります。
例えば……
- 孤立している状態で他人との交流が少ない場合
- 家族や友人との関係が希薄で支えを感じられない場合
- 社会的なサポートやコミュニティへの参加がない場合
といった場合です。
対処法は、自己理解
とはいえ……
人間関係が苦手……
と思っている方も多いのでないでしょうか?
社会的な関係と幸福度の関係は複雑であり、個人によって異なる要素が関与するため、一概に結論を出すことは難しいです。
そこで、おススメしたいのが、自己理解、自己分析です。
「他人を知るには自分から」という言葉があります。
自分のことを知ることで、はじめて他人のことを理解できるようになります。
いくつか自己理解に関する記事を投稿していますので興味がある方は是非ご覧ください。
マイナス思考が強い
マイナス思考が強い人は幸福度が低いことがあります。
マイナス思考とは、否定的な視点や悲観的な考え方を持つことを指します。
例えば……
「何をやっても上手くいかない」
「自分には才能がない」
といった考え方が挙げられます。
このようにマイナス思考は、自己評価や自信を低下させ、幸福感や生活の質に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
対処法は、ポジティブ変換
ポジティブな発想が豊かであると、楽観的で、幸せ感を感じやすい傾向にあります。
ネガティブな発想をポジティブな思考へ変換することが対処法です。
興味深い文献があるのでご紹介します。
ポジティブ感情には,ネガティブ感情によって高められた,嫌な気分や心拍率,血圧などの自律神経系の亢進を,素早く元に戻す元通り効果(undoing effect, Fredrickson & Levenson, 1998)といった機能があることも示されています。
「ポジティブ感情はなぜ必要か?」公益社団法人 日本心理学会HPより
つまり,人々が逆境やストレスに直面したとき,その中にポジティブな意味を見いだすことで,思考や行動のレパートリーが拡大し,さまざまなポジティブな資源を手に入れることを可能にし,それがさらにポジティブな感情, 経験への遭遇を増加させるといった上向きの螺旋を生み出し,結果としてウェル・ビーイングや健康の増進をもたらす(Fredrickson & Joiner, 2002)と考えられます。
この文を読むと以下の3つのようなことを考えます。
- ネガティブな感情があることで、その後にポジティブな感情がより意味深く感じられることがある。
- 逆境やストレスに直面したときに、そこからポジティブな意味を見出すことで、より幅広い思考や行動の選択肢が開かれ、さまざまなポジティブな資源を得ることができる。
- それがさらなるポジティブな感情や経験をもたらし、結果的にウェルビーイングや健康の向上につながる。
ネガティブは悪い印象がありますが、ポジティブを生み出すために必要な材料なのかもしれません。
ネガティブな部分をポジティブに変換する方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので興味のある方は是非ご覧下さい。
目標や生きがいを見出せないこと
目標や生きがいがないことで、人の幸福度が低下する理由には以下のようなものがあります。
- 日々の生活に充実感や満足感を見出すことが難しい。
- 将来に対して希望や意欲を持つことが難しい。
- 倦怠感や無気力感を抱くことがある。
こんな調査もあります。
仕事へのやりがいを感じる場合は相対的に生きがいもある割合が高い 。
仕事へのやりがい及び生きがいの両方がある場合に満足度が最も高い。
「満足度・生活の質に関する調査報告書2023」内閣府HPより
対処法は、目標や生きがい探し
なんのために……働いているんだっけ??
このように思う方も多いのではないでしょうか。
仕事に対して、自分の関心や情熱を持てるような分野や役割を見つけることが重要です。
こちらの記事にて、詳しく解説していますので是非ご覧ください。
まとめ
幸福度が低い人の特徴として、心身の健康が悪い、経済的な不安がある、社会的な関係が希薄、マイナス思考が強い、目標や生きがいを見出せないことが挙げられます。
これらの要素に対処する方法として、定期的な運動や生活費の見える化、自己理解、ポジティブ思考への変換、目標や生きがいの探求があります。
読んでくださった方のお役に立てれば幸いです。
ありがとうございました。