仕事で何を大切にしたいか?って聞かれてもわからない。
仕事で大切なものって何?
この記事では、こんな疑問を解決します。
面接の際に……
「仕事をする上で何を大切にしたいですか?」と聞かれることがあると思います。
あなたは、何と答えますか?
その答えがキャリアアンカーです。
今回は、キャリアンカーとは何か?キャリアアンカーの見つけ方について解説していきたいと思います。
この記事を読むことで……
- 仕事をする上で大切にしていることを見つけることができるようになります。
- キャリアアンカーを見つけることは、重要な選択を迫られた際のコンパスにもなります。
また、最後に各キャリアアンカーの職業や具体的なキャリアアップについても紹介していきますので、具体的にイメージすることもできます。
ぜひ最後までご覧くださいね。
この記事では、参考文献: Schain. E. (1990), Career anchars: discovering your real values: revised edition, Jossey-Bass (金井壽宏訳『キャリア アンカー自分のほんとうの価値を発見しよう」 白桃書房、2003)を参考、一部引用しています。
ャリアアンカーのはいつ形成されるのか?
ひとつ注意しなければならないのは、学生にはキャリアンカーは使えないということです。
キャリアアンカーは、職業選択に影響を与える価値観やスキル、興味などが形成される青年期後半から中年期にかけて形成されます。
一般的に、人生の初期段階での経験や、職場での成功体験によっても形成されることがあります。
30歳を過ぎてからキャリアンカーがはっきりしてくるとも言われています。
キャリアアンカーとは、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)などのこと
キャリアアンカーとは、個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)などのことで、その個人の自己像の中心を示すもの。
個人のキャリアを船に例えた場合、それをつなぎ止める錨(いかり)としての働きをするもので、ある人のキャリアの積極的定着促進要因とも言われます。
キャリア・アンカーの概念を最初に打ち出したのはシャイン (Schein, E.H.1975) 。
彼は、「欲求と動因の基本的な組み合わせは、効果的なキャリア・アンカーとしての役割を果たす。 それはキャリアの選択に影響を与えるだけでなく、転職にも影響を与え、 その個人が人生で見つけたいと思っているもの形づくり、 未来の展望、 関連する目標と対象の総合的な評価を特徴づける」とした。
そして、 あるマネジメント・スクールの卒業生の調査から、次の5つのアンカーがあることを確認しました。
後に修正されますが、最初に打ち出された概念が以下の5つです。
紹介していきますね。
① 管理能力 (managerial competence)
対人能力、分析能力、情緒の安定などの管理的な面に価値を置く。
これらの人はライン管理者として、 組織の中でより責任のある役割が増大することを望みます。
②技術的、機能的能力 (technical/ functional competence)
自分の専門的な仕事の優秀さを通して欲求を満たす。
これらの人は、特定の役割を実行すること、技術的、 専門的な分野で働くことを望みます。
③ 安全性 (security)
安全を最優先にする。 これらの人は、1つの組織にいて、 1つの社会的地位にとどまることを望む。
④ 創造性 (creativity)
何かをつくり出すことを求める。
これらの人は、起業家として行動し、新しいビジネス、商品、サービスを創造することに意義を見いだします。
⑤ 自律と独立 (autonomy and independence)
自分の自由と独立を守ることに関心を持つ。
組織を離れてコンサルタントになったり、独立することを求めます。
修正後キャリアンカー
その後、シャイン (Schein, E. H. 1990) は、数百人のいろいろな人々とのインタビューなどの経時的研究により、次の8つのカテゴリーに修正しています。
そして、キャリアアンカーを自分の仕事において何が重要かを理解するための道具として定義しました。
8つのキャリアンカーについて解説していきますので、自分に当てはまりそうなキャリアンカーを見つけてみましょう。
①特定専門分野・機能別のコンピテンス
(technical/functional competence: TF)
自分の専門性や技術が高まることを強く望み、スキルを中心に自分のキャリアを作っていくタイプです。
自分のスキルや技術に誇りを持ち、その分野での専門知識を深めることに喜びを感じることができます。
技術的な専門知識を深めることによって、仕事においてより高い地位を目指すことができます。
技術専門家は、自分の専門分野に関する情報を最新に保ち、新しい技術や手法を積極的に取り入れることが重要です。
具体的な職業では、
具体的な職業としては……
- エンジニア
- プログラマー
- データサイエンティスト
- ネットワークエンジニア
- ITコンサルタント
- ウェブデザイナー
- コンピューターグラフィックスデザイナー
- 情報セキュリティエンジニア
- システムアナリスト
- システムエンジニア
- データベースエンジニア
- モバイルアプリケーション開発者
- AIエンジニア
などが挙げられます。
②全般管理コンピタンス
(general managerial competence: GM)
組織の中で責任ある役割を担うことを望み、 より管理・統制できる地位への出世などに関心を持つタイプです。
リーダーシップのスキルに自信があり、ビジネスの分野で上級管理職を目指す人々。
自分自身や周囲の人々を成功に導く能力を持っています。
また、彼らはビジネスに対して強い関心を持ち、経営戦略やビジネスプロセスの最適化など、ビジネスの発展に向けて積極的に取り組みます。
彼らは常に高い目標を掲げ、チームメンバーを鼓舞して、組織全体の成長と発展を促進することを目指しています。
具体的な職業としては……
- マネージャーやリーダー
- プロジェクトマネージャー
- 人事担当者
- トレーナー
- 経営者
などが挙げられます。
③自律/独立(自由)
(autonomy/independence AU)
自分で独立することを望み、 組織に属さず、 何事も自分の力でやろうとするタイプです。
このタイプの人は、自己理解が深く、自分自身の価値観やスキル、能力を明確にし、それに基づいて自分自身でキャリアプランを作成することができます。
また、独立して働くことができるため、自分のペースで働くことができ、自分自身の時間を有効に使うことができると充実感を感じます。
具体的な職業としては……
- 起業家
- フリーランス
- コンサルタント
- 大学教授
- 法律家
- 芸術家
- 作家
- 科学者
- エンジニア
などが挙げられます。
④保障・ 安定
(security/stability: SE)
安定的に1つの組織に属することを望み、キャリアの安定に何よりも関心を持つタイプです。
安定性を重視し、長期的なキャリアプランを持ち、安定した生活を送ることに価値を置く人々。
このタイプの人は、将来にわたって安定的な収入を得ることに重きを置き、長期的に仕事を続けることを望んでいます。
また、安定志向の人は、仕事とプライベートのバランスを重視する傾向があり、仕事と家庭生活をうまく両立させることを目指します。
つまり、安定志向の人は、自分自身や家族の将来について考え、安定性を求めることが多いです。
具体的な職業としては……
- 務員
- 銀行員
- 教員
- 医師
- 弁護士
- 会計士
などが挙げられます。
⑤起業家的創造性
(entrepreneurial creativity EC)
クリエイティブに新しいことを生み出すことを望み、自分自身で何か (製品、 会社、サービス)を生み出したいタイプ。
芸術的な能力を持ち、クリエイティブな仕事に携わりたいと考える人々。
自分自身の能力やスキルに自信を持ち、クリエイティブな仕事に興味を持っています。
また、彼らは創造性を発揮するために、自分自身や周囲の人々をインスパイアする能力を持っています。
彼らは、芸術やデザイン、広告、映画、音楽、文学など、様々な分野でクリエイティブな仕事をすることができます。
具体的な職業では……
- 起業家
- ベンチャーキャピタリスト
- 事業開発担当
- マーケティング担当
- 研究開発担当
- 技術アドバイザー
- プロダクトマネージャー
- UXデザイナー
などが考えられます。
⑥純粋な挑戦
(pure challenge: CH)
不可能と思われる障害を克服すること、 解決不可能と思われている問題を解決することを強く望み、よりいっそう困難な問題に直面することに関心を持っているタイプ。
自分で仕事を選び、自分のペースで働くことに重きを置く人々。
自分自身でタスクを管理し、自分のスケジュールを調整することができるため、フレキシブルな働き方が可能です。
また、自分自身のスキルや能力を磨くことに重点を置き、自己成長に努めます。
彼らは、自分自身のキャリアプランを作成し、自己実現を追求することができます。
具体的な職業例では……
- 宇宙飛行士
- 女子プロゴルファー
- トップシェフ
- ピアニスト
- 経営者
- アーティスト
- 研究者
- バイオリニスト
- スポーツ選手
- フリーアナウンサー
ただし、これらの職業は、すべての人にとって純粋な挑戦とはみなされない場合があります。さまざまな人々にとって、他の職業または活動がCHである可能性があります。
⑦奉仕/社会献身
(service/dedication to a cause SV)
自分の実際の才能や有能な分野よりも、社会的価値観の実現を望み、その社会的価値観に基づいて社会に対して影響を与えられることに関心を持っているタイプ。
社会貢献の意識が高く、そのための仕事に関心を持つ人々。
自分が働くことで社会に貢献し、社会的な価値を生み出すことに熱心であり、そのような仕事に魅力を感じます。
社会奉仕者は、自分自身の価値観に基づいて仕事を選び、使命感や意義ある仕事に従事することが重要です。
社会奉仕者は、非営利団体やNGO、公共機関などで働くことが多く、社会の課題に取り組むために、政策の提言や啓発活動、支援や教育など、多岐にわたる活動を行っています。
社会奉仕者は、自己実現や経済的な利益よりも、社会貢献や社会的な価値を追求することに重きを置きます。
具体的な職業例では……
- 医療関係
- 公益法人職員
- 社会福祉法人職員
- NPO職員
- ボランティアコーディネーター
などが考えられます。
⑧生活様式
(life style:LS)
組織が個人および家族を尊重してくれることを望み、生活全般におけるトータルバランスに関心を持っているタイプ。
自分のライフスタイルに合わせた仕事を選ぶ傾向があります。
つまり、仕事とプライベートのバランスを取ることが重要であり、自分のライフスタイルに合わない仕事は長続きしないとされています。
具体的な職業としては……
- フリーランス
- 芸術家
- スポーツ選手
- パイロット
- フライトアテンダント
- サーフィンインストラクター
- ツアーガイド
などが考えられます。
自分に当てはまる価値観がありましたか?
どれか一つに強烈に共感するタイプの人もいれば、ふんわりいくつかのアンカーに共感するタイプの人もいると思います。
大切なのは自分が何に価値を感じるかということです。
私の場合について、解説していきます。
私の場合……
私は、現在医療従事者として働いていますが、正直なところ「奉仕/社会献身(SV)」にはあまり共感できません。
「全般管理コンピタンス(GM)」には、少し共感できる部分があります。学生の頃から委員長やリーダーなどの役を任されることがありました。組織やグループの中心にいたいタイプです。
いちばん共感できるのが「自律/独立(自由)(AU)」です。他人の指示や命令を受けずに自分で決断したいという気持ちが強いと思います。言われてやることが嫌いで自分で考えて行動したいです。あと、いつも「自由になりたい」と思っています(笑)。
このように、「この職業についているから、このキャリアアンカーが当てはまる」なんてことはありません。
同じ職業の人を集めても共感できるキャリアアンカーは別々です。
もちろん、どのキャリアンカーが良い悪いもありません。
純粋に、どのタイプに共感できるか、憧れるかで探してみてください。
まとめ
仕事におけるキャリアアンカーについて説明しました。
キャリアアンカーとは、個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力(才能)などのことです。
具体的には、
- 技術専門家
- 全般管理コンピタンス
- 自律/独立
- 保障/安定
- 起業家的創造性
- 純粋な挑戦
- 奉仕/社会献身
- 生活様式
の8つのタイプがあります。
自分に合ったキャリアアンカーを見つけることで、より充実したキャリアを築くことができます。