「相互尊重って何?」
「相互尊重って、どうするの?」
こんな疑問を解決します。
このページにたどり着いた方は、「相互尊重」という言葉をどこかで見て、調べた方が多いと思います。
「相互尊重」ってなんだろう?
「相互尊重」という言葉は、文化庁のホームページでも使われており、最近、特に目にする機会が増えた言葉の一つです。
~略~
すべての人は基本的に平等です。したがって,一方が必要以上に尊大になったり卑下したりすることなく,お互いに尊重し合う気持ちを大事にしなければなりません。このような「相互尊重」の気持ちを基本として敬語を使うことが,現在も,また将来においても重要です。
『第一話「敬語の心得」理解度チェックの解答』 文化省HPより
今回の記事では、「相互尊重」の言葉の意味、「相互尊重」のやり方について解説していきます。
結論からお伝えすると、相互尊重とは「お互いに肯定すること」です。
相互尊重ができるようになると様々なメリットがあります。
やり方についても解説していますので是非最後までご覧くださいね。
まずは”相互尊重とはなにか?”ということを整理しておきましょう。
相互尊重とは、「お互いに肯定すること」
相互尊重という言葉を理解するには、「尊重」という言葉を理解する必要があります。
「尊重」という言葉を辞書で引くと……
「価値あるもの、尊いものとして大切に扱うこと。」
goo辞書より
と、あります。
やや抽象的です。
そんなときは反対の言葉から考えてみます。
「尊重」の対義語は「無視」です。
マザーテレサも、「優しさの反対は無関心である。」という言葉を残しています。
「無視」という言葉を辞書で引くと……
「存在価値を認めないこと。また、あるものをないがごとくみなすこと。」
goo辞書より
したがって、「無視」とは「否定」することと言えます。
「否定」の反対は「肯定」なので、
「尊重」とは「肯定すること」とも言えるのではないでしょうか。
ということで、ここでの「相互尊重」とは、「お互いに肯定すること」としました。
肯定するとは?
肯定するの定義は、
goo辞書
- そのとおりであると認めること。また、積極的に意義を認めること。「現世を―する」⇔否定。
- 論理学で、ある命題の主語と述語の関係が成立すること。また、その関係を承認すること。⇔否定。
つまり、肯定するとは、具体的には以下のようなことを言います。
- 相手の意見を受け入れたり、賛成的な態度をとる
- 相手に対して積極的に接する
- 相手を褒めたり、感謝の気持ちを示す
ということです。
例えば……
相手の意見や行動に対して……
「すごくいいアイデアだね!」
と言うことは、相手を肯定している例です。
また、
「君の努力は素晴らしい」
と褒めることも相手を肯定する方法の一つです。
相互尊重することのメリット
相互尊重するメリットは以下の通りです。
信頼関係が構築されやすい
相互尊重は信頼関係が構築されやすいと言われています。
その理由は大きく3つあります。
- 相互尊重は対等な関係を築くための基本的な要素です。お互いを尊重することで、一方的な権力関係や優越感が生まれず、信頼の基盤が築かれます。
- 互いを尊重することにより、相手の意見や感情を重視する姿勢が示されます。これにより、相手は自分が尊重されていると感じ、信頼感を抱くことができます。
- 相互尊重はコミュニケーションの質を向上させます。お互いが尊重し合っている状況では、オープンで建設的な対話が生まれやすくなります。これにより、意見の違いや衝突が生じても、信頼関係を損なうことなく問題解決が行えるでしょう。
相互尊重は信頼関係を強化し、より良いコミュニケーションと協力関係を築くための重要な要素です。
建設的な対話をすることができる
相互尊重をすることにより、ストレスやトラブルを回避し、建設的な対話をすることができます。
相互尊重は、相手に強要したり、攻撃的な態度をとらないからです。
例えば、相互尊重ができていない場合……
- ・相手の意見を無視し、自分の意見のみを押し通す。
- ・相手を攻撃したり、威圧的な態度をとる。
- ・相手の感情や意見を軽視し、無視する。
このような行動に発展しやすいですが、
相互尊重ができている場合……
- ・相手の意見を真剣に聞き、尊重しながら対話を進める。
- ・意見の相違があっても、互いに理解を深めようと努力する。
- ・相手の感情や意見に対して攻撃的ではなく、傷つけないような態度を持つ。
と、相互尊重がある場合、対話が建設的に進むことが特徴です。
自己肯定感が高まる
相互尊重することで、自己肯定感が高まります。
それは、相互尊重することにより、自己肯定感に必要な自信と自尊心が高まるからです。
相手が自分を尊重してくれると感じることで、自分自身の存在に意見や価値があると感じることができる状態です。
自分自身に対する評価のことを指します。
相手を尊重することで、自分は他者を尊重することができる尊い人だという気持ちになれるのです。
これにより、自己価値感や自尊心が向上し、より良い心の状態を保つことができます。
相互尊重することのデメリット
相互尊重には良いことが多いです。
しかし、気を付けないといけない注意点、デメリットも存在します。
自分自身の意見を抑えてしまう可能性がある
相互尊重を実践する際、自分自身の意見を抑えてしまうことがあります。
これは、相手に対して過度に配慮しすぎるためです。
例えば、以下のような事例が考えられます。
- ・相手の意見に同意するばかりで、自分の意見を言わない。
- ・相手が異なる意見を持っている場合でも、自分の意見を主張せず黙ってしまう。
- ・相手の反応や意見を気にしすぎて、自分の本音を表現しない。
過度な配慮や自己抑制は、自分のアイデアや意見が生かされない可能性を高めます。
その結果、創造性やイノベーションが妨げられることもあります。
相手を尊重し、自分も尊重してもらうことが重要です。
相互尊重を実践する際には、自分の意見や考えを適切に表現することも大切です。
相手に対して敬意を持ちつつも、自分自身のアイデアや意見を積極的に発信することで、より豊かな対話や意思決定が可能となるでしょう。
意見がまとまらなくなる可能性がある
上記に関係しますが、相互尊重を実践することで、意見がまとまらなくなる可能性があります。
これには以下のような理由が考えられます。
- 相互尊重の過度な実践: 相互尊重を重んじるあまり、相手の意見に対して自分の意見を抑えてしまうことがあります。このため、意見の相違や議論が進まなくなる可能性があります。
- コンセンサスの欠如: 相互尊重を実践する場合、意見の対立を避ける傾向があります。しかし、異なる意見や視点がないと、真のコンセンサスが形成されず、意見がまとまらなくなる可能性があります。
- コミュニケーションの不足: 相互尊重を実践する際には、意見を適切に伝えることが重要です。しかし、コミュニケーションが不十分であったり、意見を明確に表現しなかったりすると、相手が理解しにくくなり、意見のまとまりに影響を与える可能性があります。
相互尊重を実践する際には、バランスを保ちつつ、自分自身の意見を適切に表現し、コミュニケーションを深めることが重要です。
相互尊重にはコミュニケーション能力も重要です。
以上のようなデメリットがあるため、相互尊重をする際には、バランスを考えながら実践することが大切です。
相互尊重がうまくできていない場合とうまくできている場合のケース
結局、相互尊重ってどういうこと?
少し具体的にみていきましょう。
相互尊重ができている場合、できていない場合の会話のやりとりです。
一部分だけですがイメージは湧くと思います。
相互尊重がうまくできていない夫婦のやりとり
「また遅いんだって?何でいつもこんな遅くなるの?」
「すみません、今日は会議が長引いてしまって…」
「いつもそんな言い訳ばかりだ。もっと家庭を大切にしてくれないか」
「ごめんなさい、もう少し早く帰れるように頑張ります」
このように、夫が妻に対して非難的な態度をとると、妻は自信を失ってしまうことがあります。
妻も自分の意見を言うことを諦めてしまっています。
相互尊重を実践するためには、夫も妻の意見を尊重し、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
相互尊重がうまくできている夫婦のやり取り
「今日も、遅くなるの?」
「はい、会議が長引いてしまって…」
「最近、遅いことも多いし、僕としては、家族の時間も大切にしてほしいという気持ちもあるんだ。」
「そこは申し訳ないと思っています。でも最後までやり遂げたい仕事でもあるの。あと1週間だけ、お願い。」
「そうか。わかったよ。あと1週間、君の納得いくまで頑張って。」
ありがとう。頑張れるわ。
夫も妻も自分の意見を相手に丁寧に伝えています。
そして、自分の意見を100%通そうとするのではなく、相手の意見を尊重しています。
相互尊重できていると、「ありがとう」と感謝の言葉がでることも多いです。
もう一つ、ケースを見てみましょう。
相互尊重がうまくできていない上司と部下のやりとり
「なんでこんなミスをしたんだ?」
「すみません、反省しています」
「反省しているだけで何も変わらない。もっとちゃんとやれ」
「はい、わかりました」
極端な例ですが、このように、上司が部下に対して非難的な態度をとると、部下は自信を失ってしまい、何もいうことができません。
相互尊重を実践するためには、上司も部下の意見を尊重し、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
相互尊重がうまくできている上司と部下のやりとり
「今回のミスは、どういった経緯だったの?」
「私の確認不足です……」
「そうか。今回のようなミスは2度と起こすことはできないと思っているよ。」
「おっしゃる通りです。」
「ミスを起こしたことは仕方がない。落ち込む気持ちもわかるが、2度と起こさないように対策が必要だよ。君の意見を聞かせてもらえるかな?」
「一人だとミスすることもあるので、二人で確認するほうが良いと思います。」
「さっそく準備してみよう」
上司は「二度とこのようなミスを起こしてほしくない。」ということを伝え、部下に意見を求めます。
部下は落ち込む気持ちはあるものの、上司からの対策について意見を述べます。
上司部下の関係性はありますが、否定せず、お互いに意見を言えるやりとりが相互尊重では重要です。
相互尊重教育の必要性
相互尊重は、双方がお互いを尊重する精神を持っていなければなりません。
自分だけ相手を尊重しても、相互尊重にはなりません。
相互尊重は、お互いが意識する必要があります。
そこで必要なのが相互尊重教育です。
相互尊重教育とは、相手を尊重することの大切さを教育すること
相互尊重教育とは、相手を尊重することの大切さを教育することです。
教育によって、相互尊重することが当たり前の行動として身につくようになり、社会全体で相互尊重が実践されるようになることを目的としています。
相互尊重教育は、子どもたちに対して実践されることが多いですが、社会人に対しても行われます。
会社の中で相互尊重の考え方が浸透すれば、建設的なコミュニケーションが促進され、人間関係のトラブルも減少します。
まとめ
相互尊重とは、お互いに肯定することであり、肯定することでコミュニケーションが円滑になり、ストレスやトラブルを回避できます。
また、相手の意見を聞くことができ、感謝の気持ちを示すことができ、適切な言葉遣いを心がけることができ、自己肯定感が高まるといったメリットがあります。
しかしながら、相手に押し付けがましくなったり、自分自身の意見を抑えてしまったり、意見がまとまらなくなることもあるため、バランスを考えながら実践することが大切です。
相互尊重教育は、相手を尊重することの大切さを教え、他人の気持ちを考えることの大切さを教えることが目的とされています。
今回の記事がお役に立てたら嬉しいです。またのお越しをお待ちしています。